2008年03月29日

貝母(ばいも)の花が咲きました


貝母の花1.jpg庭の半日陰に貝母の花がひっそりと咲いているのを見つけました。6年ほど前に移植した、丈母が大好きだったお茶花です。ここ2〜3年見かけず、枯れてしまったとばかり思っていたので、見つけたときはとても嬉しくなりました。
中国原産のユリ科の多年草で、耐寒性が強く3、4月ごろに咲きます。高さ40〜50センチの直立した茎に、一輪ずつ鐘形の花を下向きにつけます。葉は細く、茎の上方の葉は先がカギのようになっていて他の植物に巻きつきます。
淡黄色の地味な花で、外側に緑色の条線があり、内面は紫色の網目模様で、編笠に似ているところからアミガサユリ(編笠百合)ともいいます。古くはハハクリといったそうで、球根の鱗片がクリのように合わさり、母が子を抱くように見えるからだそうです。貝母は漢名の音訓みですが、これも鱗片を貝に見たてた名で、球根は鎮咳、解熱の薬になるそうです。地味な花ですがなんとも味わいのある上品な花です。

白き蝶貝母の花にまぎれくる 大場白水郎
やうやくに咲きし貝母はさびしき花  森田峠



貝母の花2.jpg貝母の花3.jpg
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2008年03月28日

メジャーリーグと日本プロ野球の違い

今日からセントラル・リーグが開幕し、野球ファンにとっては楽しみなシーズンになってきましたが、いまひとつ盛り上がらないのは、人気や実力のある選手がどんどんメジャーリーグにさらわれてゆくからでしょうか。
先日の東京ドームでのメジャーリーグの開幕試合をテレビで観戦し、日本プロ野球との違いを目の当たりにしてはいたし方ないかとも思います。

スポーツライターの二宮清純さんがある雑誌に書いておられた「日米の野球格差を問う」を見せ付けられたような気がしました。以下は、二宮さんの記事の一部です。

『昨季のメジャーリーガーの平均年俸は約282万ドル(約3億円)。日本プロ野球は3553万円と10倍近い開きがある。しかし、15年前のメジャーリーガーの平均年俸は100万ドル(約1億円)を超えた程度。当時の日本プロ野球の平均年俸が約1760万円だったことを考えれば、"格差"は確実に広がっている。
メジャーリーガーの総年俸が毎年のように過去最高を更新する一方で、日本プロ野球は2006年から平均で198万円も減った。選手の年俸が高騰しても、経営の圧迫要因とならないのは、メジャーリーグの収益が拡大しているからに他ならない。たとえばテレビの放映権料。メジャーリーグでは全米や海外向けの放送の放映権料は機構側が一括して管理し、各球団に分配している。一方で、ローカル局の放映権料はまるまる球団の懐に入る。そのため、球団によっては自分たちで放送局を保有し、放映権料のみならず、視聴料やCM放送によるスポンサー収入を得ているところもある。(中略)
「日本の球団フロントは視聴率が落ちたとか、経営がうまくいかないとか、全てを外部のせいにしている。その前に、自分たちが営業努力をどのくらいしているのかと問いたい。経営する気がないなら、身売りしたほうがマシですよ」団野村氏が指摘するように、これまでの日本、とりわけセ・リーグの球団経営は巨人にオンブにだっこだった。セ・リーグの各球団は最盛期で1試合1億円ともいわれた巨人戦の放映権料をあてにし、赤字分は親会社が広告宣伝費として補填してきた。しかし10年前には20%を超えていた巨人戦の視聴率も年々、減少し、昨年の平均は9.8%。一昔前は全試合中継が当たり前だったが、昨年は地上波では144試合中74試合の放送にとどまった。巨人がリーグ優勝を決定した試合すら、中継をしなかった。巨人頼みのビジネスモデルは完全に崩壊したと言っていい。』

日本では「メジャーリグへの選手流失を許すな」などという「鎖国論」を主張する人もいると聞きますが、経済成長著しいアジア諸国やロシアなどへの有望マーケットへの拡大の話は聞こえてきません。
二宮さんもこの雑誌の中で指摘していますが、日本のプロ野球は、台湾、中国、韓国と連携してメジャーリーグに対抗しうる組織を作るべきだと思います。なんといっても日本の野球はアジアの中では歴史も伝統もあるのですから。今の日本の政治と同じように将来へのビジョンや国際戦力が描けないなら、国民から見放されると思います。
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2008年03月27日

志水辰夫さんの「オンリィ・イエスタデイ」を読んで

最近の読書は、これまで読んでこなかった作家の本が中心でした。宮尾登美子さんの「天璋院篤姫」も矢口敦子さんの「償い」などもそうですが、しばらく経つと、また、好きな作家に戻ってきたくなります。戻るとなれば、私の好きな作家10本の指に入る志水辰夫さんです。志水さん自身が自分の著書の中でも最も愛する長編だという「オンリィ・イエスタデイ」を読みました。
文庫本・帯封の、「女に飽きた男」「男に絶望した女」「出会うべきではなかった。」のキャッチコピーを見ると、つい手にとってしまいました。

主人公は45歳の池内峻介、アウトドア用品アドバイザーという肩書きを持ち、女を食い物にしてずるずると生きてきた男です。その峻介が、雨の夜の芝浦で、スリップ1枚で逃げまどう女・江田美也子をメルセデス・ベンツで拾うシーンから始まります。最初の100頁は喜劇タッチで、峻介とその女美也子との交流を中心に、彼女が"わけあり"であることを読者に示すかたちで進みます。その後、周囲の人物がようやく物語に本格的に登場してきて、物語はダイナミックに脈動を始めます。

ヒーローとしてはかなり異色の物語ですが、いざクライマックスに向けて突き進み始めると、そこはやはり志水辰夫の世界です。磨きぬかれた文章、選び抜かれた言葉、峻介の苛烈な清算へのピリオドが、リズム良く、歯切れ良く、綴られていきます。夜の雨というモノトーンの世界に銀色が瞬く冒頭から、赤と青の光が強烈にきらめくラストシーンに至るまで、そのすべてが「シミタツ節」に彩られた志水辰夫の世界でした。
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2008年03月26日

広島でもサクラの開花宣言


桜ー3月25日縮景園.jpg昨日開花した縮景園のソメイヨシノ―Pは中国新聞HPから

広島地方気象台は昨日25日、広島市中区の縮景園にある標本木のサクラ(ソメイヨシノ)が開花した、と発表しました。中国地方で最も早く開花しましたが、昨年よりは3日遅かったそうです。今年は2月が寒く、3月初旬の開花予想では3月30日頃だと言っていましたが、3月中旬以降、気温が平年より高めだった影響もあり、平年よりは4日早くなりました。気象台によると、平野部での満開は1週間後の見込みとのこと。昨日の広島市中区の最高気温は、4月上旬並みの17.9度。標本木には5〜6輪の花が開き、他の花芽も大きくふくらんでいるそうです。私の住む住宅団地にも桜の並木がありますが、まだ殆ど蕾です。開花が待ち遠しいです。

桜といえば、なんといってもソメイヨシノですね。花言葉もそれに相応しい「優れた美人」で、現代の観賞用サクラの代表種でもあります。ソメイヨシノは、緑の若葉が出る前に、木全体を覆うように淡紅白色の花を一斉に咲かせます。そして、その潔い散り方がなんともいえません。

ソメイヨシノの起源はエドヒガンザクラ系品種(母種)とオオシマザクラ(父種)の交配によって、生まれたものであるということがわかっています。栽培の歴史も新しく、江戸(染井)の植木屋が、はじめ「吉野」の名で売り出したものとされています。後に奈良の吉野山のヤマザクラと混同しやすいので、明治33年に染井吉野という名前に改められました。花は3、4個集まって咲き、香りはなく、花弁は5枚の一重咲きです。一般に桜と言えば、ソメイヨシノをさすのが常識的で、それだけ全国に多く植えられ、名所があり、人々に馴染みも深いからなのでしょう。
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2008年03月25日

ジャガイモの植え付け完了


ジャガイモ3.jpg今日、白木農園に行きジャガイモの植え付けをしました。日記を見てみると昨年は3月22日、一昨年は3月26日に植えていますから、今年も例年と同じような時期に植えることができたことになります。白木農園の圃場に着いて、作業を始めたのは10時半過ぎころでした。
この圃場は8月中旬以降にソバを栽培するため、7月下旬までにジャガイモを収穫し終えるという約束ごとがありますが、白木農園のジャガイモ栽培は人気があり、今年も20人の方たちが申し込みをしました。

今年は、会員の中でも人気のあるキタアカリを全体の四分の三、残り四分の一には男爵をに植えることにし、全部で5キロを植えつけました。耕耘の後に残っている草などを割合丁寧に取り除きながら植えつけたので、結構時間がかかり、作業が終わったのは12時半頃でした。

白木農園の会員の殆どは、1週間以上前に植え付けが終わっているように思われます。3月9日以降は、植え付けが可能だったのですが、時間がとれず、20日の春分の日に植える予定が雨で駄目になり、23日にと思ったらこの日も朝から雨でまた中止。昨日の天気予報では、今日は「午後から激しい雨に注意」ということで、午前中に植えることにしました。幸い雨が降る前に作業を完了することができました。
ただ、心配なことがひとつあります。20日に植える予定にしていたので、ジャガイモを半分に切って乾燥させていました。ところが、20日も23日も雨で植えることができなく今日になりましたが、10日近くそのまま置いていたので切り口に薄っすらカビが生えているように見えます。カビだったら発芽は難しいと思うのですが、なんとか「発芽してくれ」と祈りながら植えつけました。

片付けた後、白木農園のすぐ側にあるカントリレストランで昼食をすませて帰途につきました。自宅に帰ってブログの原稿を書き始めたら、雨が降り始めました。良かった…。
少し欲張りすぎて、間隔が狭くなりすぎたかな?

ジャガイモ1.jpgジャガイモ2.jpg
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2008年03月24日

またまた、ザリガニの赤ちゃんの誕生


ザリガニ1.jpg昨年11月に、兵庫に住む娘から孫娘が飼っているザリガニの赤ちゃんが生まれたというメールが入り、それには添付写真がついていました。それを、11月27日のブログに書きました。あらから約4ヶ月、先日、またザリガニの赤ちゃんが生まれたと言うメールとともに写真が送られてきました。

前回の写真より今回の写真の方が、ザリガニの赤ちゃんの様子がハッキリ見えます。お腹の中に赤ちゃんをたくさん抱えています。当然と言えば当然ですが、やはり赤ちゃんも小さくてもちゃんとザリガニの形をしています。体の色はまだ赤くはなく透明ですが、ちゃんと目などは確認でき、とっても可愛いものです。

昨年生まれたザリガニの赤ちゃんで生き残ったのは写真の1匹だけだそうです。水が冷たくて餌が食べられなかったのか、それとも他のザリガニに食べられてしまったのかもしれません。現在は体長約2.5センチに位までに成長しているとのことですが、まだ色は透明に近い白色です。これからだんだん赤みがついてくるのでしょう。
今回は、これから暖かくなることでもあり、もう少したったら分離すると言っていましたから、きっとかなりのザリガニの子供が育つことと思います。
孫娘からの報告が楽しみです。毎日、観察している孫娘の表情を思い浮かべるだけで嬉しくなってきます。

ザリガニ3.jpgザリガニ2.jpg
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2008年03月22日

熟年大学の卒業式

今日3月22日は、東広島市熟年大学の卒業式が東広島市総合福祉センターで行われ出席しました。
卒業生、在校生、来賓、講師を含めて、百数十名くらいの参加者で、式辞、卒業証書の授与、来賓挨拶、卒業生謝辞など卒業式の式次第は全国共通のようです。昨年に続いて出席しました。熟年大学ですから、卒業生はもちろん60歳を超えた熟年ばかりです。しかし、参加した人たちの表情はとても生き生きとしていて年齢を感じさせない方々ばかりのように見受けました。

卒業式が終わった後に、会場を東広島市中央公民館に移して記念講演があり出席しました。
「あったか笑顔のまちづくり講演会」と題して、講演内容は、「我がまちの福祉は私たちの手づくりで―住民の知恵とエネルギーでつくる支え合いのまちづくり」でした。講師は広島文教女子大学・人間科学部・人間福祉学科の蛯江(えびえ)紀雄さんです。
蛯江さんは、30年間福祉の現場を経験された方だけに、内容のあるお話でした。
講演の中で一番印象に残った言葉は、地域の中で困っている人たちが「『困った!』と気軽に言える環境」を作ることが、何より重要だということでした。地域の中で支えあうことが希薄になった現在、この言葉を発するには、よほどの勇気がないとできない世の中になっていると思います。誰もが、困った時には、「困った」と言える世の中は、実に素晴らしいことです。
福祉を「他人ごと」と考えず、「我がこと」として考えれば、支え合うマナーも心で感じ取ることができるのでしょうが、「ここまでしてやっているのに…」と支える方が思った時点で、支えてもらっている人のプライドは大きく傷つくことになるのです。福祉に「上下」があってはいけない、その通りだと思いました。
福祉の内容も複雑化してきていますが、「このまちで、自分がどう過ごしたいか」という観点から「福祉は我がこと」と思えるような気持ちを持てるように努力してゆきたいと感じた講演会でした。とても良い勉強になりました。
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2008年03月19日

「無法バブルマネー終わりの始まり」を読んで

松藤民輔さんの「無法バブルマネー終わりの始まり」を読みました。
松藤民輔さんは、「アメリカ経済の終わりの始まり」「世界バブル経済終わりの始まり」でアメリカ不動産バブルの崩壊、そして、サブプライムローンがアメリカ発の世界大恐慌を引き起こしかねないと予測していました。この問題の本質に誰も気づいていない1〜2年前から、警鐘を鳴らしていました。それがいま現実のものになってきています。
「無法バブルマネー終わりの始まり」は「終わりの始まり」の第3弾ですが、あまりも見事に、サブプライム・ショックを言い当てた、松藤さんの言葉に、耳を傾けない訳にはいきません。

「無法バブルマネー終わりの始まり」での松藤さんの主張は、次の4つです。この本が発刊されたのが、2008年1月15日ですから、サブプライム問題に関しては予告どおりになってきています。

1.サブプライム問題は、これからが本番
2.中国のバブル崩壊も近い
3.資源に頼り過ぎのロシアの限界も近い
4.これからは「金投資」がベスト

松藤民輔さんは、1980年日興証券をスタートに、海外の証券会社で活躍してきました。日本のバブル崩壊後は、投資の主役はペーパーマネーから「ゴールド」の時代に移行すると予見し、95年に株式会社ジパングを設立、2005年にアメリカ・ネバダ州の金鉱山を買収し、現在は金鉱山のオーナーです。

この書のメインシナリオは、NYダウが暴落し金価格上昇するという考えですから、これから世界経済がもっと悲惨な状態になると煽って、自分がビジネスをする「金」へ誘導しているとも、言えなくもありませんが、松藤さん独自の鋭い視点が随所に見られ、聞き流すことはできないと思いました。投資はあくまでも個人の責任ですから、その事を承知した上で、松藤さんの発言を一つ一つ精査して、取るべ行動を選択していく必要がありそうです。
アメリカ、中国、ロシアなどの国々の将来は悲観的な観測ですが、これからの日本については、明るい未来を予測しています。それは、日本が古から連綿と続いてきた「技術力」を持っていることです。そのためには、国家や企業にとどまらず私たち一人ひとりが、創意工夫を忘れず、日々、新たな活動を続け、その輝きは失わないように歩むことが大切だと思います。

また、本書では、「大証の金ETF」についても触れられ、2008年春に上場が予定されている、東証版の金ETFも紹介されています。東証版は大証版と異なり、現物との交換も可能なようです。投資に興味のある方は、注目してもいいのでは?
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2008年03月18日

矢口敦子さんの「償い」を読んで

矢口敦子さんは、この書で訴えたいことを、文中で登場人物に次のように語らせています。
「人の肉体を殺したら罰せられるけれど、人の心を殺しても罰せられないとしたら、あまりにも不公平です」
「他者の心を傷つけた者は、どうやって裁かれるべきなのだろう」

主人公は、36歳のホームレスです。彼は、かつては将来を嘱望された優秀な脳外科医でした。ある日、大学病院へかかってきた妻からの1本の電話が、その後の彼の運命を変えてしまいました。
3歳になったばかりの息子の具合が悪いので診て欲しいという妻からのSOSを、彼は忙しさを理由に突っぱねてしまったのです。その日は運悪く日曜日で、妻は開いている小児科を車で捜し回りますが、手遅れになってしまいます。息子を喪ったのち、彼はある医療ミスの責任を取らされて大学病院を事実上の絨首になります。そのことを告げた日に、妻はマンションから飛び降り自殺してしまいます。
こうして彼は、「日高英介」という名前を捨てて、普通名詞の「男」へと変身してしまったのです。その彼が、流れついた東京のベッド・タウンで、高齢者、障害者、ホームレスなどの社会的弱者ばかりが殺される事件に遭遇します。容疑者にされた彼は、そのとき知り合った刑事の依頼で「探偵」となり、この連続ナイフ殺人事件の真相を追う羽目になります。
その過程で出会うのが、かつて彼がたまたまこの街に来たときに誘拐犯から命を救った少年・真人でした。当時2歳10ヵ月だった真人は、12年たった今、15歳になっていました。真人が男のことを覚えているはずもなく、男も過去のいきさつを一切語ることはありませんでしたが、二人は仲良くなっていきます。
ところが、ある切っ掛けから、その真人が「犯人」ではないかと男は疑うようになります。「私は取り返しのつかない過ちを犯したのだろうか。善を行なったつもりで、悪を行なったのだろうか」、自分が救った子が殺人鬼になってしまったのかと、男は深く悩みます。
「人の心の泣き声が聞こえる」、「不幸な人は死んでしまえば、もう不幸は感じずにすむ」と言う真人の心の深い闇とは何か。それは、憎悪や憤怒が起こした犯罪ではなく、「やさしさ」が引き起こした殺人だったのだろうか…。

ミステリーですからこれ以上は書きませんが、精神や心の問題をテーマにした奥行きのある感動的な作品です。悲しくて、でも暖かい。読み進めると、じわじわと読者の心に浸透し、読み終えた時、「癒し」となって心を満たしてくれます。
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2008年03月15日

宮尾登美子さんの「天璋院篤姫」を読んで

宮尾登美子さんの「天璋院篤姫」を読みました。これまで私は「天璋院」についての知識が乏しく、「江戸城を無血開城し、徳川家の存続に尽力した人」くらいのことしか知りませんでした。今年に入ってNHKの大河ドラマ「天璋院篤姫」が始まって、主演の宮海△�いさんが演じる聡明で利発な「篤姫」役に魅せられ、これは是非とも原作を読んでみようと思い立ちました。

薩摩藩の島津家の一門・今和泉家に生まれた於一(おかつ)が、本家・島津斉彬(72万石)の養女になり、将軍の継嗣争いに利用され、第13代将軍徳川家定の御台所となり、幕末動乱期の歴史を影で支え、活躍した主人公篤姫をはじめとする女性達と幕末の武士の姿を描いた物語です。

260年続いた徳川幕府は、開国を迫る強国欧米と尊皇攘夷派が勢力を増し混乱する中、さらに幕府は将軍後継問題で揺れます。次期将軍に一橋慶喜(徳川慶喜)を推す一橋派(幕府老中・阿部正弘、水戸藩主・徳川斉昭、薩摩藩主・島津斉彬)と、紀州慶福(徳川家茂)を推す紀州派(紀州藩老中・水野忠央)と対立します。
第13代将軍・徳川家定の正室は2人とも若くして死去していた為、第3正室は丈夫で元気な正室が望まれていました。次期将軍を一橋慶喜にと考える島津斉彬は、政略をより一層有利に画策する為、大奥を利用しようと考えたのでした。その正室にと抜擢されたのが、島津一門の島津忠剛の娘で聡明で利発な於一でした。
そうして、薩摩藩主・島津斉彬(なりあきら)の養女になり篤姫と名を改め、老女・幾島から御台所となるための養育を受け輿入れします。

幼少の折には肝付尚五郎(後の小松帯刀)と一緒に学問を学んだとされます。宮尾さんの物語にはありませんが、ドラマでは瑛太さん演じる肝付尚五郎が於一に熱い思いを寄せ、父親の島津忠剛に結婚まで申し込みます。忠剛は了承しますが、その時、藩主・島津斉彬から城への呼び出しがあり、「於一を養女に」の話が言い渡され、この肝付尚五郎との縁談はなかったことになります。
薩摩藩を明治維新のリーダーに押し上げることに大いに活躍した小松帯刀は、江戸城総攻撃にあたっては、初恋の人・篤姫に刃を向けることにもなっていくことになるのですが、この先ドラマではそれをどのように描くのかも楽しみです。

大奥は紀州派の年寄・滝山が支配しており、 一橋派の政略として嫁いだ篤姫の味方は幾島ら僅かな女中だけでした。しかし、篤姫は大奥という複雑熾烈な現実を持ち前の器量と思慮深さで凛として統べてゆきます。だが、島津斉彬と次期将軍を一橋慶喜にと推し進めていた阿部正弘が病死します。その後、島津斉彬も発病し死去と、一橋派はたて続けに頼りの人物を失ってしまいます。そして、紀州派の井伊直弼が大老に就任し、篤姫は将軍世継問題で真っ向から対立することになるのです。

そんな激動の中、病床の徳川家定と篤姫の実のない結婚生活は、わずか1年半で終止符を打ちます。徳川家定の後には第14代将軍としてまだ13歳の慶福(徳川家茂)が就任します。その家茂も第二次長州征伐の途上で病に倒れ、大坂城にて21歳の若さで病死し(一説には毒殺)、徳川慶喜が第15台将軍に。しかし、1867年徳川慶喜は大政奉還し、鳥羽伏見の戦いでは薩摩・長州の政略により朝敵になったことで幕府軍大将の徳川慶喜が江戸に逃げるなどして、士気が上がらず幕府軍は大敗してしまいます。

このような幕末の動乱の中、篤姫は自分の運命を切り開いて行くことになります。篤姫が徳川家定亡きあと、髪をおろして天璋院と名乗ったのは、まだ20歳代前半のときでした。
幼い徳川家茂に正室として朝廷より輿入れした仁孝天皇の妹・和宮も、宮尾さんの小説では、天璋院とは不仲だったと描かれています。しかし、江戸城開城の後は、天璋院は島津本家に、和宮(静寛院宮)は朝廷にと、共に嘆願し徳川家存続や徳川慶喜の助命嘆願にも尽力します。

病弱で精神の成熟からも遠い家定との常ならざる結婚生活など数奇な運命を辿った天璋院篤姫は、徳川家の人間としてみごとに全うします。NHKの大河ドラマが進行中のことでもあり、これ以上は詳しく書くことはしませんが、全体に重層的な響きのある素晴らしい小説です。
posted by tontonton at 16:49 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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