2007年05月31日

中国の食・医の安全強化に期待

昨日の新聞報道によると、5月29日中国の北京市で、虚偽の申請資料に基づく偽薬に生産許可を与えるなどして、多額の賄賂を受け取っていた鄭(てい)被告に死刑の判決が言い渡され、財産などもすべて没収される事になりました。
そして、中国外務省の副報道官は記者会見で判決に関して「中国政府は食品、薬品の安全を一貫して重視している。国際社会とともに努力し、中国の食品の安全と信用を守りたい」と述べました。
外務省が、医薬品、食品の安全確保を強調しなければならないほど、中国製品の信用は著しく失墜しているのでしょう。

米国などでの報道によると、中米・パナマで昨年秋、中国産の有毒物質を含むせき薬を服用した100人以上が死亡しました。同国ではさらに、毒性物質を含む中国産練り歯磨きが見つかり、現在、調査をしているそうです。米国でも、やはり中国産原料を含むペットフードを食べた犬や猫が大量死しました。

中国国内でも、食や医の安全を脅かす事件が頻発しています。昨年来、発がん性物質を含む着色料などを使って製造された食品が続々と見つかったり、魚の養殖などでも発がん性物質は使用された痕跡も…。
また、防腐剤や甘味料を調合した人工ハチミツ、廃油で作った食用油、工業用漂白剤を使用したしらたきもあった、といいます。怖い話しですね。
わが国へ輸入されている農産品の残留農薬問題も先日大きく報道されたばかりですが、中国国内でもこの農産品の残留農薬や偽薬も大きな問題であり続けているそうです。

胡錦濤国家主席は先月、「食の安全の業務を全面的に強化せよ」と、食、医の安全に向けた政権の決意を強く指示しました。政府当局者の食品輸出管理を強化に加え、厳罰でのぞむ司法の姿勢で、どこまで改善されるでしょうか。安全軽視の風潮は、死刑判決を受けた鄭被告ら汚職に走る政府の担当官からヤミ業者まで広い範囲に及んでいると言われています。中国の食・医の安全は、注意深く見て行く必要があると考えます。

posted by tontonton at 15:47 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月30日

チョコレートを食べて夕張市を応援しましょう

財政再建団体に転落した北海道の夕張市を支援しようと、ネスレの日本法人ネスレコンフェクショナリーは夕張メロンを使ったチョコレート「ネスレ キットカット 夕張メロン」を6月4日から全国発売すると発表しました。価格は1個147円(税込み)で、このうち10円分を夕張市が設立した基金に寄付するそうです。
同名の商品はすでに2002年から北海道限定で発売されていたそうですが、財政破綻した夕張への支援を求める手紙が同社に相次いだ事から、中身を刷新して、全国発売する事に決定したようです。夕張メロンで作ったクリームをミルクチョコレートで覆った香ばしい味だそうです。

ネスレの販売戦略だといってしまえば見も蓋もありませんが、ネスレの企業精神を私たちは素直に受け取るべきだと考えます。このキャンペーンが少しでも夕張市民のためになれば、と祈るばかりです。さらに、日本中の企業がこの様な形で夕張市に協力できたら素晴らしいと思います。発売されたら、さっそく購入しようと思っています。

ところで、キットカットはチョコレート菓子ですが、私たちが一番身近に感じるたのは「Have a break, Have a KitKat.」のキャッチコピーでしたね。
また、キットカットの名称が「きっと勝つ」と似ていることから受験生が縁起担ぎに食べる現象がありました。ネスレはそれを販促材料に使えると判断し、1月ごろになるとパッケージに「合格祈願」の文字を入れたものも販売しています。また、どこだったかサッカーチームが、応援フラッグにキットカットのロゴに加えて「キットカツ」のフレーズが使っていたことがあったと思いましたが…。


posted by tontonton at 18:22 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月29日

美しい自然の中で暮らす人は、心までも美しい

昨夜、NHK衛星映画劇場で放映された、映画「阿弥陀堂だより」を見ました。テレビで映画を見るのは久しぶりの事ですが、見終わって、穏やかな気持ちになり、心が落ち着き、心の中に爽やかに吹き抜ける風を感じました。

物語は、東京で暮らす熟年の夫婦、孝夫と美智子。医師として大学病院で働いていた美智子は、ある時パニック障害という心の病にかかってしまいます。東京での生活に疲れた二人が孝夫の実家のある長野県に戻ってきたところから映画は始まります。二人は大自然の中で暮し始め、様々な悩みを抱えた人々とのふれあいによって、徐々に自分自身を、そして生きる喜びを取り戻し、心を癒されていきます。

熟年の夫婦を演じるのは、寺尾聰さんと樋口可南子さん。死者を守る阿弥陀堂に生活する老婆・北林谷栄さんをはじめ、田村高廣さん、香川京子さん、井川比佐志さん、吉岡秀隆さんなどの豪華なキャストです。北林谷栄さんの熱演は、時には可笑しく、時には切なく、時に優しく、私たちの胸に迫ってきます。

古くからの日本の原風景が残る場所・長野県での長期にわたる撮影がもたらす極上の映像は、ひとつひとつのシーンが一枚一枚の絵画のような美しさです。日本の自然は、こんなにも美しく、人にこんなにも優しいのか、と感じました。そして、美しい自然に寄り添って生活している人たちは、心までも美しくなる、と思いました。

近年、リストラや高齢社会、少子化といった報道の中で、多くの人が人生の進路に不安を覚えています。これまで走り続けてきた日本の社会が、全体に息切れをしているような時代。そんな時、自分が“生きている”ことをもう一度考え直すために、奥信濃に帰ってきた夫婦と、それぞれに悩みを抱えた人々の姿が深く胸の奥に残ります。この作品は、いつのまにか遠くを見ることを忘れてしまった私たちに、もう一度考えることを示唆しています。
posted by tontonton at 15:23 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月28日

井野口慧子さんの「ウジェーヌ・カリエールへの旅」を読んで

井野口慧子さんの「魂の気迫を描く―ウジェーヌ・カリエールへの旅」を読みました。井野口慧子さんは東広島市在住の詩人・作家で、創作活動以外にも講演やコンサートなどでの詩や物語の朗読など幅広く活躍されています。私の妻は井野口さんとは中学時代からの親友で、豊栄での住まいを通じて家族ぐるみのお付合いをしています。
井野口慧子さんは、これまでも詩集やエッセイ集など多くの作品を発表していますが、今回の「魂の気迫を描く―ウジェーヌ・カリエールへの旅」は、特に大きな感動を覚えました。

その「ウジェーヌ・カリエールへの旅」は次のような書きだしで始まります。

『今から40数年前のこと、私はまだ18歳、大学の受験に向かうバスの中に乗り込んだ私を見て、先に乗っていた古橋純子さん(後に島田さん)は、テレパシーを感じ、この人といずれ友達になると思ったと言った。その通り、その年の4月から4年間、同じ文学部の英文学専修のクラスでは、いつも同じ机に向かって時を過ごした。長い夏休みさえ、初めは離れ難く、旅を一緒にしていた。冬休み、春休みも…。
(中略)
東京と広島と別れて休みを過ごし、大学に戻った日、2人が全く同じ黒の皮のショルダーバッグ、紺の毛糸のアンサンブルのセーターとカーディガン、真珠が一つ付いた金の鎖のネックレスというスタイルで現れたことがあった。
当然クラスの連中は2人が一緒に買物をしたと思っていたが、私たちはお互いを見て笑い出したのだ。タイトスカートの色もベージュだった。東京と広島で同じものを見つけていた。それほど当時二人は通じ合っていたということだし、思い出してみると、すでにシンクロニシティ―共時性は起こっていた。…(略)』

そんな古橋さんが広島を訪ねたとき、井野口さんと一緒に倉敷の大原美術館に行きます。そこで初めてウジェーヌ・カリエールの小さな油絵《想い》に出合いました。たくさんの名画の中で、「目立たないセピア色の濃淡だけのこの絵」が強烈な、ちょっと変わった出会いになったのです。
以来、いろいろな場所でまるで知らなかった人とカリエールの絵が引き合わせてくれたり、ある時はカリエールの絵が、見知らぬ地に井野口さんを案内してくれたそうです。そして、井野口さんは多くの人とめぐり合い、多くの感動と喜びや時に悲しみを受け取りました。実に多くの人たちとの出会い、繋がり、そして別れ、登場する人たちの数は驚くほどです。そして、その方たちとの出会いは、まるでカリエール自身が引き合わせてくれているようにさえ思えるのです。
次の一節は、井野口さんとカリエールの繋がりを強く感じさせます。

『この40年間、カリエールが私に与えてきたあの合図、霊気。それを、少しずつ、私の身体が受容していった。直感の積み重ねは、やがて一つの確信となる。“子供を失う”という宿命はさまざまな予知・予兆から始まり、30代後半で現実となった。その後そのことが私自身の使命となっているのだ。命の大切さ、自然の言葉、声なき声を表現すること、人に伝えていくこと…。』

40年余の星霜を経て、井野口さんとカリエールの旅は続いています。これからもまだまだ…。

posted by tontonton at 18:10 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月26日

人生のギャンブラー?曽根圭介さんの横顔

先日、第53回江戸川乱歩賞に選ばれた曽根圭介さん(40)が、記者会見を行い、「(受賞の知らせを聞いて)最初は友人のドッキリかと思いました。これからはできる限りいろんなことを書いていきたい」と喜びを語りました。

その記者会見では、曽根さんの異色な経歴に質問が集まりました。
東京都内で6畳一間のアパート暮らし。朝4時半に起き経済紙を熟読、7時半に出勤を装い部屋を出て図書館で執筆してきたそうです。「この年で無職だと大家さんに言いづらい。偽装サラリーマンです」と。
ユニークな人生遍歴を披露した受賞会見は爆笑の連続だったそうです。
静岡県出身で、一浪し早大に入学するも、一度も通うことなく単位をに取らず中退し、その後、サウナ従業員、マンガ喫茶店長などを経験、「実績も上げたがこのままではいけないと、社長とわざと喧嘩して」3年半前に退職。ホームレスになってもと、貯金を取り崩しながら作家を目指しました。
「まじめな性格で就職すると頑張ってしまう。本当は一人で世間と対峙したい」と、意図的に身を持ち崩す人生を送ってきたそうです。

今回の受賞作「沈底魚」は、中国の謎のスパイを追う公安警察の世界を描く謀略小説だそうです。別の作品で先月、曰本ホラー小説大賞短編賞も獲得したとか。会見で「非常に才能がある」と太鼓判を押した大沢在昌・乱歩賞選考委員も「影響されてオレもと仕事を辞める人が出ると困る」と苦笑しました。(^。^)

頑張っては辞める人生のギャンブラー?作家の道も突然投げたりしませんか?には、「一作ごとに違う世界を書く小説はそのたびに転職するから大丈夫。唯一時間を忘れられるのも、物語を書くこと」と。
会見の翌朝、図書館へ通う曽根さんが偶然目撃されて、かばんに執筆用のパソコンを入れ自転車を駆る姿は、もう偽装しなくていい自信にあふれていたそうです。

曽根圭介さんの本は、まだ読んだことがありませんが、「沈底魚」は近いうちにぜひ読んでみたいと思っています。
posted by tontonton at 16:03 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月25日

新興市場の危機に思う

今週はやや持ち直してきたものの、新興市場の株価下落が止まりません。今週の僅かな上昇も、「長い下り坂のちょっとした上り」にしか見えません。
ジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスの各市場指数は、06年1月に最高値を記録して以降、値下がり基調が続き、回復の兆しがなかなか見えてきません。新興企業の業續不振と相次ぐ不祥事発覚で、取引の主役である個人投資家が遠ざかっているためです。
新興市場は本来、個人の資金で新興企業を育成し、日本経済の成長に結びつけるというのが大きな役割のはずです。その市場の役割が、いま大きな危機にさらされています。

新興市場での株価下落が顕著になったのは、06年1月の「ライブドア・ショック」以降です。ライブドアによる証券取引法違反事件が発覚し、この時は新興企業だけでなく、東証1部の主要銘柄も値を大きく下げました。
しかし、その後、企業業績の回復を受けて主要銘柄は持ち直し、曰経平均株価(225種)は今年2月、約6年9か月ぶりに1万8000円台を突破しました。今日現在も1万7000円の半ばで推移しています。これに対し、新興市場の指数は復活の兆しが見えていません。
ヘラクレス上場のクインランド株は今日の終値が14330円で、「ライブドア・ショック」直前の06年1月16曰の終値、42万3000円から約97%近く下落するなど、大崩れした銘柄も多くあります。

ジャスダックなど3市場に、名証セントレックス、福証Q−Board、札幌アンビシャスを加えた新興6市場には計1382社(5月現在)が上場しています。
昨年1月から今年5月までに新規上場したのは200社あまりでしたが、このうち、15銘柄の初値が公募価格を下回りました。相次ぐ新規株式公開(IPO)も投資家の回帰にはつながっていません。

新興市場の現在の不振は、ライブドア事件以後に相次いだ不祥事の発覚や、業績の大幅な下方修正に、投資家が不信を募らせたためですが、この責任は上場企業にだけあるとは思いません。
もちろん上場企業の内部管理や情報の開示姿勢が不十分なことも問題ですが、上場を担当した証券会社の審査の緩みに加え、上場企業の獲得競争に走った証券会社にも大きな問題があります。

わが国でも制度改定で6月から、物価が多少上がっても年金が増えなくなります。物価に年金が負けるということで、年金の目減りがいよいよ始まります。日本でも株主が企業利益の恩恵を受けられるまっとうな資本主義に変わってきて、株主になっても報われる時代になってきました。
そこで、証券市場や証券会社は、個人の投資家が安心して投資できるような環境を作ってゆくことが求められます。
お隣の中国の株式市場では、90%以上が個人の株主です。中国と事情が違う日本ではそうなるとは考えられませんが、個人の投資家が安心して投資し、結果として個人の資金が新興企業などを支え、発展させる要因になれば、良い方向に向かうものと信じます。

ただ、株価は値上がりもすれば、思わぬ値を下げる事もあります。投資する人は個人の責任において、この事を充分に認識しておく事が大切です。株式投資をする方は、ニューヨークのウォール街に伝わる次の言葉を、いつも頭の片隅に置いておいてください。

「強気な市場は、絶望の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、恍惚感の中で消えてゆく」
posted by tontonton at 15:45 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月24日

幸田真音さんの「バイアウト」を読んで

幸田真音さんの小説「バイアウト」を読みました。金儲けを第一主義に、敵対的TOBなどで世間の注目を集める相馬ファンドの相馬との念願の取引にこぎつけた外資系証券会社の広田美潮が、買付を依頼された銘柄は、皮肉にも幼い頃自分を捨てた父の音楽会社でした。また相馬ファンドだけでなく他に3社もTOBを仕掛けてくる異常事態が発生します。生き残りをかけた企業買収の中での人間模様が熾烈な中にも面白く展開されてゆきます。

企業買収(バイアウト)する側、買収されようとする企業を巡って、「企業価値とは何か?」「会社は誰のものなのか?」、幸田さんはこの作品で、その意味を真に問おうとしたのではないでしょうか。

そのことを幸田さんは文中で次のように表現しています。

「あのゴードン・クラークに問えば、高齢化社会経済への移行は世界の宿命だと、きっと胸を反らして断言するのだろう。世界はすでに従来からのモノ作り重視の時代を終え、配当や利息収入などといった金融経済に頼む社会になりつつある。だから、証券業界に身を置くことに誇りを持てるのだと。そして美潮自身も、だからこそM&Aの部署への異動を夢に生きてきた。
だが、はたしてそうなのか。そもそも株価とはなにを意味するのだろう。こんな数字で、会社のいったいなにがわかるというのか。それ以前に、会社という存在はなんなのだ。こんな数字で企業の全存在が表わされ、時価総額がどうなったかと議論になり、一喜一憂することにどれほどの意味があるというのか。」

また、ファンド側の言い分として次のようにも語らせています。

「だが、所詮ここは古い価値観に固執する幼稚な国でしかなかったのだ。いくら改革を叫んでも、聞く耳をもたぬ輩ばかりだ。一方的に技術立国を礼賛するばかりで、モノ作りこそが高潔な仕事だとする風潮はどこまでも変わらない。その反作用なのか、成熟とも進歩とも無縁な人間ほど、カネ作りにはどこまでも冷ややかで、金融は虚業だと蔑視する。
この国の株取引は自由なはずだ。買う側にペナルティはあっても、売る側にはない。カネ作りのどこが、モノ作りより卑しいというのだ。カネを儲けてどこが悪い。相馬は突き上げてくる思いに、唇を噛んだ。」

昨年は、国内でも「ライブドア」「村上ファンド」などの事件で、「時価総額」「会社は株主のもの」などの言葉がマスメディアで飛び交いました。今年も日本国内で、企業買収の投資ファンドの動向が注目を集めています。しかし、永遠に続くであろうテーマ「会社は誰のものなのか」「なんのために働くのか」「誰のために働くのか」を経営者や従業員を問わず働く人たち、ひとりひとりが、しっかりと真剣に考え、それを力強く訴えることが大切だと思います。
幸田さんの「バイアウト」はそんな事を考えさせられる1冊です。
posted by tontonton at 16:23 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月23日

ヘッジファンド規制の実効性に疑問

19曰閉幕したG8財務相会合で、ヘッジファンドに対する規制強化で合意がなされました。その背景には、国境を超えて巨額の資金を瞬時に動かすヘッジファンドが金融システムに与える影響力に主要国が警戒を強めていることがあります。ただ、規制のあり方を巡っては、議長国ドイツと曰米などの間に隔たりが大きく、妥協の産物として合意した「金融機関を通じた間接的な規制」には実効性に疑問も出ています。

「ヘッジファンド規制は市場の健全性改善や特定の金融市場の機能不全が連鎖的に他の市場に波及することの防止に役立つ」と、議長国ドイツが発言した背景には、世界の金融市場で急速に膨張するヘッジファンドの実態があります。
米調査会社へネシー・グループによると、今年1月時点で世界のヘッジファンド数は9550、総資産規模は前年比26%増の1.5兆ドルに達しています。これは10年前の約10倍の規模です。世界の経済をヘッジファンドが動かしているといっても言い過ぎではないように思えます。

資金の出し手にしても、金融監督当局の目が届く金融機関だけでなく、年金基金などの機関投資家や中東オイルマネーなど様々です。一つの市場で暴落などの大きなショックが起きたときに、どのような経路で波及するか不透明な事が、規制強化を求める背景にあります。

しかし、会合では、ドイツがヘッジファンド自身による自主規制の導入を求めたのに対し、「当局が自主規制しろというものが本当に自主規制と言えるのか」など、各国の反応は否定的でした。「銀行や証券会社には既に様々な規制がかかっており、そういうところから十分に監視できる」ことに加え、ヘッジファンの自由な投資行動を抑えることが、金融市場の活力をそぐとの意見が日米などで支配的だったためです。
このため、G8では、ヘッジファンドに投資している金融機関に対する聞き取りなどを通じて、ヘッジファンドに流れるカネの流れを把握するという間接的な監視手法にとどまりました。

この様な、G8財務相会合の発表があった翌日に、中国政府が、米大手投資会社のブラックストーン・グループに、中国政府が設立を表明している外貨準備の専門投資会社から30億ドル(約3600億円)の出資をすると発表しました。中国の外貨運用はこれまで米国債が中心でしたが、より高い運用利回りを求め、米投資会社を出資対象にするとみられます。

ブラックスト−ンは運用資産額が約787億ドル(約9兆4000億円)と世界最大級で、買収企業を成長させた後に再上場させて売り抜ける投資ファンドとして有名です。

一方、中国の外貨準備額は昨年末時点で1兆663億ドル(約128兆円)と世界トップです。中国の外貨準備の専門投資会社の運用額は2000億〜4000億が規模と言われ、海外企業の株式のほかエネルギー資源なども投資対象になる可能性があるといいます。

中国政府が世界最大級の外貨をファンドなどで運用するとなれば、経済にどのような事が起こるか予想もつかない事態になるかもしれません。投資グループによる経済や金融の支配になるような世の中だけにはなって欲しくないと祈るばかりです。

posted by tontonton at 15:45 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月22日

世界最古の会社は日本にありました

野村進さんの「千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン」を読みました。この本は、老舗企業の魅力を描き、13万部のベストセラーとなった本です。野村進さんは、拓殖大学教授でジャーナリストでもあります。

野村さんのこの本によると、曰本の老舗企業の数は世界でも突出しているということです。例えばお隣の韓国では、俗に「3代続く店はない」と言われるとおり、100年続いている店や企業は一つもないそうです。中国では血縁以外を排除する同族経営が発展を阻んでいるといいます。紛争や内戦が多かった国では企業の存続は難しく、アジアは植民地化が多くの爪跡を残しています。

古い伝統が息づくイメージのあるヨーロッパでも、曰本ほど古い会社は多くありません。家業経営歴200年以上の会社のみ加入を許される「エノキアン協会」の加盟社中、最古の金細エメーカーでも設立は14世紀です。曰本ではこれよりも古い店や会社が100社近くあるのです。

593年、難波に四天王寺を完成させたのが仕事始めという建築会社「金剛組」は現存する世界最古の企業だそうです。1400年以上の歴史を持つ企業ですからビックリします。また、創業300余年の「福田金属箔粉工業」の技術や、百数十年前は両替商だった「田中貴金属」の技術が、先端機器の携帯電話に生かされているなど、私たちの知らない意外な事実を紹介しています。その他にも、日本の老舗企業の技術が最先端の技術を数多く支えている事を知り、この本を読んで改めて老舗企業の凄さを認識しました。

しかし、なぜ今、老舗の経営に注目が集まるのかについて次のように書いています。
キーワードは「揺らがない理念」。その理念とは、「多くの老舗は『もうかる』か『役に立つ』かの二者択一を迫られると、『役に立つ』を選んできた」だと。

会社の理念が明確でないと、中で働く社員は働く意味を見いだしにくく、ただでさえ、雇用が流動化し、成果主義があいまいなまま浸透して、20〜30代の若者は将来に大きな不安を抱えています。

社員が自分探しをするように、会社自身も会社探しをしていて、揺らいだり、迷ったりしているのかもしれません。しかし、老舗はちゃんとした理念を持ち続けているので、『自分探し』をしなくていい点が強いのでしょう。老舗の経営に注目が集まるのは、多くの企業や個人が『何のために働くか』を、老舗の理念の中に探しているのかも知れません。

西欧流の商慣習は曰本にも深く入り込んできています。一時的な利益を求めて人員整理もいとわない冷徹な経営判断が求められるときもあれば、曰本に多く見られた共生型の経営が有効なときもあります。長年培われてきた、足元にある理念を、日本の経営者は今一度見直すときが来ているのではないでしょうか。


posted by tontonton at 16:00 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月18日

藤原伊織さん惜しまれる死

「テロリストのパラソル」で知られる藤原伊織さんが昨日食道がんのため亡くなりました。59歳という若さでした。
藤原さんは広告代理店に勤める傍ら小説を書き始め、1985年に「ダックスフントのワープ」で すばる文学賞を受賞してデビュー。1995年の「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞と直木賞を史上初めてダブル受賞、一躍、叙情派ハードボイルド作家として注目を集めました。

その後も、小説を書き続けますが、人気作家の割にはあまり多くの作品は発表していません。それだけに内容のある、一級品ばかりです。私は藤原さんの小説が好きで、藤原さんの作品はすべて読んでいます。いずれも素晴らしい作品ばかりですが、やはり、なんといっても「テロリストのパラソル」が一番です。

藤原さんの小説に登場する男性像は、もの静かで、優しく、強く、そしてお酒が大好きで、魅力的な男であったり、ちょい悪おじさんだったりします。男が惚れる男なのかもしれません。
藤原さんの主な作品は以下の通りです。

ダックスフントのワープ
テロリストのパラソル
ひまわりの祝祭
雪が降る
てのひらの闇
蚊トンボ白鬚の冒険
シリウスの道
ダナエ

「ダナエ」は今年1月に刊行されたばかりでした。

藤原さんは、2年前「オール讀物」6月号誌上にて、生存率20%の食道ガン発症で闘病中であることを告白していました。2002年に長年勤めた広告代理店を退社し、本格的に作家活動に専念することを決意されたのだと思います。藤原さんの作品がもう生まれてこないのかと思うと本当に残念です。
藤原さんのご冥福を心からお祈りいたします。
posted by tontonton at 16:21 | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。